祭りのすがた、人のすがた

もっと! 戸畑祇園大山笠

祭りのすがた

 昔は向う鉢巻、法被(祇園襦袢と称していた)、帯、白足袋、草鞋という扮装だったが、第二次大戦後に復活してからは、頬かぶり、腰巻、ステテコ、草履ばきとさまざまな格好をしていた。
 昭和32年に県文化財に指定されたのを機に、昔の扮装である、すなわち向う鉢巻、法被、腹巻、半股下(以上白とし、向う鉢巻、法被に所属と役職名を染抜く)、帯が復活し、この頃より、鳶足袋が広まった。今日では、鉢巻、腹巻に若干の変遷がある。なお天籟寺大山笠の囃子方だけは古風にならって白足袋に紅白の鼻緒の草履をはいている。

祭りの音〜戸畑祇園囃子〜

 戸畑祇園囃子は昔からの楽器を使用して演奏される。それは、笛、鉦、太鼓、銅拍子(チャンプクとか合せ鉦とも呼ばれる)。ただし、同じ囃子でも各大山笠で少しずつ違いがある。

【獅子舞】
「大祓い」とも「道囃子」ともいう。大山笠巡行の道筋を祓い清めて廻る時の行事、いわゆる「獅子舞」の時に奏する。

【居神楽】
大山笠への神移しの時、あるいはお旅所や所定の場所へ大山笠をすえた時に奏する。

【大下り】
大山笠が御神幸に随従してお汐井汲みに下る時に奏する。

【おおたろう囃子】
地域内を担いで廻る時の囃子で曲調は勇壮かつリズミカル。担き手は「ヨイトサ、ヨイトサ」の掛け声で拍子をとる。

【大上り】
神社に神納めに帰る時(天籟寺)や、大山笠に神移しのため神社に上る時(東西)に奏するもの。天籟寺では神社までが坂になっているので、勢いをつけるために「ア ヨッサ ヨッサ」の掛け声を入れ、この囃子に「おおたろう囃子」を入れている。なお中原には「大上り」の曲はない。

各山のお囃子を試聴する

東大山笠 西大山笠 中原大山笠 

見送り

 「見送り」は山笠の後部に取付ける幕の一種で、幟山笠のシンボル的な装飾。
 小割にした竹を格子状に編み、中央部でふくらみをとって、その上に和紙を重ね貼りした直径約1.5メートルの円型の台に幕を取付けている。なお、中原大山笠は新しい見送りができる前までは、前花と同じ形式の大菊花が用いられていた。このような円形の「見送り」は全国的にも非常に珍しいと言われている。

幕類・御幣・勾欄・幟

幕類

 現存する古い幕類は慶応元年製作のものであるが、大半は明治初期から中期にかけて製作されたものである。緋ラシャの布地に、祇園にふさわしい勇壮な武者絵などの絵柄が金糸銀糸で刺繍されている。これらの幕類は昭和32年4月23日、福岡県指定有形民俗文化財に指定された。
 現在、国庫補助等を活用して、幕類の復元新調が順次行われています。

  • 水引幕
    勾欄の直下の周囲にはりめぐらす細長い1枚の幕。
  • 前掛幕
    正面中央の凹部(昇降部)にかける幕で、水引幕に連続している。
  • 切幕
    山笠台の最下部の前後左右にかける幕で4枚1組となっている。

御幣

 山笠に奉戴している御霊や分霊に捧げる意味での「みてぐら」であるから、山笠の四隅に各一本の御幣を置くのが本来の姿であり、天籟寺大山笠(御幣のことを天下泰平と称している)と中原大山笠(四隅のほかに多数の御幣を山笠に置く)は昔からこの形式をとっている。他の大山笠は数多くの御幣を山笠に並べている。
 御幣は山笠行事が終わると、関係者などに渡される。

勾欄

 勾欄台上端の周囲に取付ける擬宝珠勾欄でL字型2枚、平板型3枚から成っている。中央部に文様を彫刻し、周囲を黒漆塗り仕上げ。古い勾欄は幕類と共に福岡県指定有形民俗文化財に指定されており、中でも西大山笠の擬宝珠(1個のみ現存して現在も新しいものと一緒に用いられている)には「文政十二己丑年三月吉日」の銘が刻まれている。

 勾欄台の左右に6本ずつ、合計12本の紅白の幟を交互にたてる。幟は黒や白の布で縁取りと乳を付けた縦約2.7m、横約0.45mの細長い紅白の布を、先端に金色の「玉」と「シャグマ」をつけた長さ約5mの竹竿に通したものである。

※乳[ち]:竿を通すための小さな輪